恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「なにいきなり」

「だから唐揚げ。美里の目の前にあるだろ」

「あぁ!美里さん赤くなってますよ!かぁわあいいー!」



カナちゃんがウザイ酔っ払いになっている。
ぺし!と軽く音をさせてその額を叩いた。



「いったぁあ!」


嘘つけ。


「カナちゃんうっさいから名前で呼んだんだよ。これで満足か」


笹倉はふん、と鼻を鳴らしてドヤ顔披露。



「美里さんの可愛いとこ見れたから満足です!」

「……まぁいいや」



反論しようとしてやめた。默して唐揚げを小皿に取る。
少しばかり頬に熱を感じたのは確かだから


だけどカナちゃんが思うような乙女な想いでは全くないんだけど。


…名前で呼ぶのってあの時だけだからつい。
ちょっとムラっと来ちゃったようだ。


オヤジな反応しかでない自分に少々女として危機感を覚えるが、これ以上カナちゃんにいじられるのも冗談じゃない。


無反応を決めて笹倉に唐揚げの小皿を差し出す。
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