恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
店の前でガードレールを背に携帯をカチカチ鳴らす。
いつもは神経をすり減らすだけの着信も、今日は逃げの口実になった。


見事に並ぶ着信履歴をざっと下までスクロールして、適当なところで発信する。
どうせどれも同じ相手だから。


呼び出しが鳴っている間、店を見上げる。
ここは、何度か来ているオーガニックカフェ。けれど、夜に来るのは初めてだった。


夜になると、綺麗にライトアップして如何にも女性やカップルが喜びそうな外観に仕上げてある。



「もしもし?お母さん?」

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