恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
◇
「瑛人君さぁ!」
一際高く、棘のある声が聞こえた。
くれはちゃんの荷物を取りにテーブルに戻ってきたちょうどその時だった。さっき出くわした子だろうとすぐにわかる。
「みさのことになると、過保護すぎるんじゃないの?」
その言葉で、あの子の怒りの根源が推測できた気がした。
なるほどね。
うまくいかないもんだ。
しん、と静まり返った空気が痛々しいほどに、あの子を切りつけてるような気がする。
誰もこちらには気づかないので、彼女の荷物の置かれてる椅子をひく時に態とカタンと音をたてた。
「彼女の荷物、これ?具合悪くなったみたいだから車で送るわ」
空気は無視の俺の声に、一斉に視線が集中した。
「え…美里さん、気分悪いんですか」
「そう。もう、顔ぐちゃぐちゃのげろげろだから。ここの払い、後日俺に回すよう店員に言ってあるから、好きな時に捌けていいぞ。あんま高い酒いれんなよ」
敢えてこの展開に乗っかったものの、えらい出費だ。
今更、割り勘だとかカッコ悪くて言えねぇし。
2度とノリで行動するのは止めよう。
荷物を手に、彼女のところへ戻ろう背を向ければ
「俺も行きますよ。狭山と家近いんで」
他のメンツ放り出して俺の目の前まで出てきたのは、件の色男だった。
「瑛人君さぁ!」
一際高く、棘のある声が聞こえた。
くれはちゃんの荷物を取りにテーブルに戻ってきたちょうどその時だった。さっき出くわした子だろうとすぐにわかる。
「みさのことになると、過保護すぎるんじゃないの?」
その言葉で、あの子の怒りの根源が推測できた気がした。
なるほどね。
うまくいかないもんだ。
しん、と静まり返った空気が痛々しいほどに、あの子を切りつけてるような気がする。
誰もこちらには気づかないので、彼女の荷物の置かれてる椅子をひく時に態とカタンと音をたてた。
「彼女の荷物、これ?具合悪くなったみたいだから車で送るわ」
空気は無視の俺の声に、一斉に視線が集中した。
「え…美里さん、気分悪いんですか」
「そう。もう、顔ぐちゃぐちゃのげろげろだから。ここの払い、後日俺に回すよう店員に言ってあるから、好きな時に捌けていいぞ。あんま高い酒いれんなよ」
敢えてこの展開に乗っかったものの、えらい出費だ。
今更、割り勘だとかカッコ悪くて言えねぇし。
2度とノリで行動するのは止めよう。
荷物を手に、彼女のところへ戻ろう背を向ければ
「俺も行きますよ。狭山と家近いんで」
他のメンツ放り出して俺の目の前まで出てきたのは、件の色男だった。