【短編】狼少女と先生と。
「私のこの外見は偽物。
二人とも見てて。」
私は空也から離れると姿を変えた。
黒色ストレートの髪の毛に。
真っ黒の瞳と黒い翼をもって。
「明日香・・・?」
「柏木・・・?」
「二人とも騙しててごめんなさい。」
「嘘だ、嘘だ!」
「空也、落ち着け!」
ああ、やっぱり空也さんはこうなった・・・。
鈴にとらわれ過ぎたんだ・・・。
半狂乱の空也さん。
そこまで愛してしまったのね。
「鈴、鈴、鈴・・・。」
「空也さん・・・。」
「昔みたいに空也と呼んでくれないか?
な、鈴。」
もう彼の目に見えているものは
柏木明日香ではない。
鈴だった。