【短編】狼少女と先生と。
「空也。」
未練がましいな、俺も。
もうあの人はこの世にはいないのに。
夢の中にまだ出てくる。
しっかりと声まで。
忘れようと思うほど
鮮明になってくる。
「あーあ。
眠れないかな。」
いくら他の事を考えようとしても
彼女の事を思いだすので
俺は再び目を開けた。
俺の目に入ってきた風景を
俺は疑った。
「鈴さん・・・?」
彼女が花畑の中に立っているのだ。
(そんなはずはない。
彼女はもう・・・。)
ならば俺は天国にいるとでも
いうのだろうか。