カタオモイからはじまる恋
あたしを置いてって
何も言わずにどこかに行く。
本当に置いてかれそうで怖くて
急いで投げ捨てたヒールを拾って
小走りで追いかける。
近くにあった長椅子に腰掛けた爽翔。
少し間を開けて座る。
「もしかして怒っちゃった?」
「怒ってないよ。ただ、聞いちゃったんだ。メイちゃんが“あたしと爽翔って結婚するのかな?”って言ったの」
聞こえちゃったの?どうしよう!
「あれは気にすることないよ!
ただ悠稀と遥姫ちゃんが結婚とか言ってたから、変なこと考えちゃって…。
それに!あたし達付き合ってないでしよ?ただ付き合ってるフリっていうか、、そのー」
何も言わずにあたしを抱きしめた爽翔。
ねー、なんでこんなことするの?
「付き合ってるフリとか終わりにしない?」
あたしを抱きしめたまま耳元で言う。
「そうだよね。本当のこと親に言わないと」
「そうじゃなくて…正式に付き合おうってこと」
爽翔の発言に驚いて突き放す。
正式に????
どういう事?
「俺のこと好きになれよ。」
あたしはこの時、
この言葉をどう捉えればよかったの?
どう返事すればよかったの?
何が正解で何が不正解だったのか…
この時のあたしにはわからなかった。