カタオモイからはじまる恋

このカップルの次に乗るんだ。
いよいよと思うと緊張する。

ドキドキしていたら
いきなり手首を掴まれた。

はっと驚いて手首を掴まれた方をみると

「悠稀?」

幻でしようか?
そこには息切れしてる悠稀がいた。

「帰るぞ。」

「は?いきなり来て何よ!」

悠稀の手を振り払う。

「お客様観覧車乗りますか?」

スタッフさんに声かけられる。

「乗ります!」

チケットを渡そうと思い、
鞄の中をあさる。

「ない。ない。チケットがない!」

「カップルでしたら無料ですけど…」

「はー、こいつと乗ります。」

悠稀が変な事を言って
観覧車に乗ることになりました。


カップルじゃないのに
なのに…なんで一緒に乗るのよ。

機内にラブソングが流れてるし

「勘違いすんなよ。」

この沈黙を破ったのは悠稀でした。

「勘違いなん」

「てか、なんで電話でねーんだよ」

…てしないよ。

「電話?」

携帯の電源を切っていたのを忘れていた。それ以前に携帯の存在すら忘れていた。

携帯の電源をつけると、

「着信56件!!!!?」

「爽翔の携帯にメイの母から電話がかかってきた。メイと一緒にいるかって。そっからずっとメイを探してた。」

「ごめんなさい」

ママから5件
爽翔から31件
知らない番号から20件

「ったく。」

「この知らない番号は誰の?」

「俺のだけど」

表情一つも変えない悠稀。

「心配してくれたんだ…」

どこか嬉しいっていうきもちがあった。
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