カタオモイからはじまる恋

「本当のこと言ってただけだよ」

爽翔さんが笑いながら言う。

そう言えば
あたしはなんでここにいるんだ?

「人が優しくしてやったのに、お前は兄貴と人の悪口言うんだ。」

冷たい視線が悠稀の方からくる。

「あんたに優しくされた覚えなんかない」

「学生証拾ってあげて?怪我してたお前をおんぶで俺ん家まで連れてきた。人の背中で寝てるお前をわざわざソファーで降ろして、怪我を消毒してあげた。
それのどこが優しくないだ?あ?」

思い出した。
何も言い返せないあたしは感謝の言葉だけでも言おうと思った。

「ありがと」

「兄貴、お前バイトじゃねーの?」

「おっと忘れてた。メイちゃんまたね!いつでも来ていいからね?」
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