カタオモイからはじまる恋
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「カイラ待って」
荷物を置いて
カイラの後を追う。
足の速さだけはカイラに勝つ。
頭も美貌も全てボロ負けだけど
足の速さだけには自信がある。
カイラに追いつき、腕を掴む。
「カイラ勘違いだって、あたしと悠稀は付き合ってないの。」
後ろを向いたまま
あたしの手を強く振り払う。
「嘘。悠稀の家は彼女以外の人は入っちゃいけないってこと知ってるんだから!」
「あたしは悠稀のお兄ちゃんの彼女なの」
嘘の関係
「それを信じろと?」
「俺がこんなバカと付き合うとでも?」
「そうだよ!悠稀がこんなバカと付き合うわけ…って、」
なんでいるの?いつから?
ってか失礼にも程があるでしよ!
「それより、カイラ俺に用があって家に来たんだろ?用は何?」
「2人で話したい…」
2人ってあたしは邪魔ってことですか?
帰ってください的な?
「あたし…帰ります。」
なんなの一体。
『俺がこんなバカと付き合うとでも?』
失礼にも程があるし、
バカの何が悪いわけ?
そんなにあたしのこと嫌いなの?
バカだから?
視界が次第にぼやけ始める。
この涙は辛いからじゃない。
悔しい涙だから。
そう自分に言い聞かせながら
家に帰った。