俺のこと好きになるの禁止だから!!
プリマドンナはキミだ
───キーンコーンカーンコーン───
「あ、唯ちゃん、また後でね。ちゃんとヒロインに立候補するんだよ!裏切るなよ~」
「う、うん…」
そう言って自分の席に向かうヒカリ。
ヒカリはすごく楽しそうにしているみたいだけど正直私は不安だった。
ヒロインになったら補習の件チャラにでもなればらいいんだけどなぁ…
と、甘い妄想と共に斜め後方の席に座っているヒカリを見送った。
それにしても、なんで劇なんだろう…
演劇で私にできることって、きっと村人Cくらいだ。
あんまり演劇のことを興味なかったからシェークスピアは有名なんだよなんて言われてもよくわからないし。
むしろ、悲劇を演じる前から今の自分が最も悲劇だし。
「ヒロインかぁ…。ドレスなんか着たら綺麗なんだろうなぁ…」
そんな声も聞こえる。
ま、自分には関係ないよね。
赤点を免れた『向こう側』の人たちが頑張るから大丈夫だよね。