俺のこと好きになるの禁止だから!!
「…秋野…ごめんな。俺のことは忘れてくれ…」
…なんだかとっても気の毒な発言をする作田君。
「俺、来年また一年でもテニスは頑張るから!」
「…あっ…うん…。」
ごめん。
こんな時って。
なんて言ってあげたらいいのかわからない。
「さ、作田君…」
私が口を開きかけたとき、先生が割って入る。
「作田、バカ言ってないで、お前はこれから追々試だ。」
…あっ…そうなんだ。
合格するまでするのね…。
「俺、今度こそ合格してみせるよ先生!」
「わかった。わかった。頑張れよ。」
先生と作田君のそんな会話を聞きながら私は追試教室を後にした。
数学…68点かぁ。
よくよく考えてみれば、いい気分。
数学っていつもいい点が取れたためしがない。
これはツバサにお礼を言わなきゃな。
「こんにちは~っと。」
いつものように教室に顔を出した。
「…。」
今日はツバサがいない。
ヒカリもいない。
「…一人で練習かぁ…」
ガラガラガラッ
すると、反対側の扉が勢いよく開く。
「あれ?唯!試験どうだった?」
ヒカリだ。肩にカバンを担いでる。
「うん!一発合格だったよ!」
「唯ちゃん、『追試』って『一発』ではないからね」
あ、そうか。
「ヒカリ、もしかして今来たの?」
「うん、まぁね」
そう言ってヒカリは自分のカバンを机の横にかけた。