俺のこと好きになるの禁止だから!!
───え?
「だけどな、普通に演劇をしても面白くないから男女の配役を入れ替えようと思っているんだ」
はいっ?
何と言いました?あの人。斜め後ろを振り返り、ヒカリの顔を見てみると、少し渋い顔をしている。
「つまりだ、男子がドレス着用!女子がタキシードだ!」
あ…ヒカリ…、思惑外れちゃったんじゃない?
段々と劇の様子がはっきりしてきて、話し合いが進む。最初の提案にみんな戸惑ってはいたけども意外とノリノリだ。特に男子。
「お前美形だから、いけるんじゃね?」
「おれ、そっちの方向に目覚めたらどうしようかな~」
「あはは、俺には惚れるなよ」
「ね~よ。アホか!」
なんてなんだかんだで楽しそう。
私がぼんやりしていると、どんどん配役が決まっていった。
ロミオ、ジュリエット役以外ははやっぱりな…って感じでさっさと決まってしまった。
主役を狙っていた女子達は悩んだ挙句大怪我を恐れての路線変更。
それぞれ自分のやりたい役を選んで行った。
あ、最悪。
私、バカだ…。
周りの様子を見ることに一生懸命になって自分の役を決めてない。
気が付けば、残った配役は3つになってしまっていた。