俺のこと好きになるの禁止だから!!
Stage6*キミの恋人
そうでもなかった
出会ったときはそうでもなかった───
──「はい、じゃあここまでだ!」
「はぁーっ、終わった……ツバサ厳しいよぉ~」
数学の宿題を手にした私はツバサに勉強を教えてもらう補習。
「ね~可愛い『彼女』にもっと優しく教えてよ~」
「バカ言ってるんじゃねぇ、帰るぞ!」
「は~い」
そう。ただ、それだけだった。勉強を教えてもらうだけの関係。
付き合っているのだって先生から言われてただけだもの──
「…雨、止まねぇな…」
傘を差しながらツバサが空を見上げる。
「ほんとだ…」
大雨のせいかな。
私のほほにも水滴がついている。
「パン濡れてないか?もっと寄れよ。」
彼はパンばかりを心配する。
私の顔は見ない。