俺のこと好きになるの禁止だから!!
階段を上り屋上の引き戸を開けた。
屋上の扉は立てつけが悪くフガフガ言いながら来るものを待っている。
ガチャ───
屋上に出ると、
柔らかな風と気持ちのいい青空が私を迎えた。
そして、なかなか閉まらない扉を無理やり固定した。
「何やってんだ?立て付け悪いんだ。」
見てたなら手伝ってくれてもいいのに。
私が視界に入った、ツバサが声をかけてきた。
「…おはよ」
「おう。」
不思議と、今日はドキドキしていない。
まるで昨日は何事もなかったかのよう。
とりとめのない挨拶の後、
ツバサは眉間にしわを寄せながら屋上から見える街並みを眺めていた。
何度見てもツバサは絵になる。
こんな人と付き合ってるなんて、
今考えると恥ずかしくて彼の顔を見ることができなかった。
「…お前、なんか顔色悪いぞ?どうしたんだよ、そのクマ」
「え?あ…うん」
そういえば、忘れてた。
出口さんのことで来てたはずなのに。
私ってば本当に自分のことばかり。
「もしかして、寝てないのか?」
私の顔を覗き込むようにツバサが尋ねる。
どうしよう。恥ずかしくて顔見れないよ。
「お前、顔上げろよ。みえね~だろ?」
「あんまり寝てなくて…だから、見ないでよ!」
「お前バカか?ちゃんと寝ろよな」
いつもと変わらないやり取りが私を安心させた。