俺のこと好きになるの禁止だから!!
―教室─
あっという間に片付けも終わり私たちは教室に戻ってきた。
「はぁ〜っ、おわったぁ〜っ」
私は解放からか大きく背伸びをした。
「…他に誰もいねぇな…」
ホントだ。ヒカリもいない。
どこ行ったんだろ?
ツバサはあたりをきょろきょろと見回している。
「ねぇ、ツバサいったい何の練習をするの?」
ケータイを取り出し、ディスプレイを見ているツバサ。
「あぁ、クライマックスシーン…かな」
「最初からじゃないんだ?」
「小道具係がラストシーンで使う棺桶のサイズを測っておけってさ。ま、そのついでかな。」
ケータイの画面を閉じ、私の方へ近づいて来た。
「お前、『ロミオとジュリエット』の話は知ってる?」
知ってるよ、それくらい。
「2人の恋人が駆け落ち失敗して死んじゃう話でしょ?」
「…うん、まぁな。コイツらってさ、もともとは仲違いしている家の出身だぜ?それが一目ぼれだってよ。」
そ、そうなの?
「コイツらの話はな、『知らなかったこと』が悲劇につながっているんだと俺思ってるんだ。」
…『知らない』か。
「もしお互いの家柄を知ってたら関わることなんてしなくてこいつらは平和に暮らせたんじゃないか?」
…どうなんだろ、
知ってても止められないってものはあるんじゃないかな。
「たとえば?」
ツバサは机を動かしながら私にそう聞いた。
「例えば…運命…とか?」
「…お前…具体例を言えよ」
う、だって他に例が思いつかなかったんだもん。