俺のこと好きになるの禁止だから!!
Stage3*揺れ動く
初演技
「…どうだった?」
フッ~と大きく息を吐く。
「…え?」
ぼんやりと、ただ天井を見ている私。
胸がまだ…
ドキドキする。
「お前、大丈夫か?顔赤くないか?」
あきれた様な顔で言う。
「…い、いきなりでびっくりしちゃった!き、キスしようとして来るだなんて!!」
ぱらぱらと台本をめくりながらツバサは話し出した。
「でも、ホントにするわけじゃないから安心だろ?」
なんて、あっけらかんとした顔で笑う彼。
…そ、そりゃそうだけど…。
「ロミオのキスから目覚めたジュリエットのシーンなんだ」
「はっ?キス?私がキスしないといけないの?」
眉間にしわが寄る。
「お前、ホントにこの話知ってるのか?台本読めよ?」
「…えっ!?あっさっきもらったからまだ読んでない…。」
「はぁ…ラストシーンはロミオのキスで目覚めるジュリエット。それからロミオの様子に嘆き自害するんだ。」
「は!?」
えッ…?
それってつまり…
私の方からキスするってこと…?
初めてのキスの相手がツバサだなんて…。
ホントに?どうしよう???
「…お前、顔赤いけどわかってると思うが、演技だからな。え・ん・ぎ。」
あ、そりゃそうか。
ツバサもさっきはそうしてたよね。
「何、お前そんなにしたいの?」
う…
ちょっと…ね。
ほんのちょっとだよ?
「男と女が近づいたらキスしちゃうなんてことないんだから安心しろよ。」
残念なような…
すごく残念なような…。
はっ…!?
私、まずいこと考えてる!?
「ははは、お前、少しは男を知れよな」
まるで私の心の声を聴いていたかのように笑うツバサ。
く、くやしい~
なんか、くやしい