俺のこと好きになるの禁止だから!!
―初デート開始5分前―
デートって何すればいいんだろ。
昨日からドキドキしてて眠れなったよぉ。
出口さんに悪い気がしなくもないし…。
携帯を眺め時間を何度も確認する。
はぁ…
こ、心の準備が…。
「唯っ!」
「え、はいっ!?」
いきなり声をかけられて変な声が出た。
「よっ、元気か?」
普段より機嫌がよさそうに見えるツバサ。
私を見た瞬間笑顔がこぼれる。
ぼ~っとツバサの姿に見とれる私。
普段着のツバサって…はじめて見る。
洋服のセンスもいいし、すごく似合ってる。
「行くぞ!」
「え?は、はいっ?行くぞってどこに?」
「俺、見たい映画があるんだ。」
そう言われ、黙ってついていく私。
黙々と歩くツバサ。
ツバサ、歩くの早いから追いつかないよ。
すると、後ろを振り返り、
「お前、横に並べよ。」
「え?」
そう言って手招きをするツバサ。
は、恥ずかし…
これがデートなんだろうか?
ボーッとしながら歩く私。
隣にいるツバサを見てられなくて。
「…早いか?」
えぇ!?
「歩幅違うからな。早かったら言えよ。」
ツバサ…
「いやいやいや!!私頑張るよ!付いていけるように!!」
「あはは、お前、全力で歩かなくてもいいぞ!お前、ポメラニアンみたいだな。」
すると、ツバサは大笑いし始めた。
そこまで笑わなくてもいいのに…
だけど、ツバサが笑ってる姿初めて見た気がする。
なんかそんな姿を見てるとちょっとだけ嬉しくなったんだ。