俺のこと好きになるの禁止だから!!

―初デート開始5分前―



デートって何すればいいんだろ。



昨日からドキドキしてて眠れなったよぉ。



出口さんに悪い気がしなくもないし…。



携帯を眺め時間を何度も確認する。



はぁ…



こ、心の準備が…。





「唯っ!」




「え、はいっ!?」



いきなり声をかけられて変な声が出た。



「よっ、元気か?」



普段より機嫌がよさそうに見えるツバサ。



私を見た瞬間笑顔がこぼれる。



ぼ~っとツバサの姿に見とれる私。



普段着のツバサって…はじめて見る。



洋服のセンスもいいし、すごく似合ってる。



「行くぞ!」



「え?は、はいっ?行くぞってどこに?」



「俺、見たい映画があるんだ。」



そう言われ、黙ってついていく私。



黙々と歩くツバサ。



ツバサ、歩くの早いから追いつかないよ。



すると、後ろを振り返り、



「お前、横に並べよ。」



「え?」



そう言って手招きをするツバサ。



は、恥ずかし…



これがデートなんだろうか?




ボーッとしながら歩く私。



隣にいるツバサを見てられなくて。




「…早いか?」



えぇ!?



「歩幅違うからな。早かったら言えよ。」



ツバサ…



「いやいやいや!!私頑張るよ!付いていけるように!!」



「あはは、お前、全力で歩かなくてもいいぞ!お前、ポメラニアンみたいだな。」



すると、ツバサは大笑いし始めた。



そこまで笑わなくてもいいのに…



だけど、ツバサが笑ってる姿初めて見た気がする。




なんかそんな姿を見てるとちょっとだけ嬉しくなったんだ。


< 83 / 201 >

この作品をシェア

pagetop