俺のこと好きになるの禁止だから!!
び、びっくりした。まさか、あんなに気さくに声をかけてくるとは…




「…ツバサ慣れてるね?」



「言ったろ?昔爺さんに連れてきてもらってたって。」



「あの人…。」



「あぁ。もぎりと販売員を兼ねてるんだ。」




「もぎり…」



「もぎりってのはチケットの半券をちぎる人のことだだよ。こういう昔の映画館だからな。売店の販売員もいないんだ。」



「そうじゃなくて。へ、変に思われなかったかな?」



ドキドキしながら聞く。




「変って?」




「ほら、その…『彼女』とか」




フッって鼻で笑うツバサ。




「まぁ、そう思ってるだろうな。」




「そんなぁ…」




「嫌か?…別に平気だろ?」




そう言って私の頭を
くしゃくしゃって撫でた。






「も~、やめてよ!」





ニヤニヤするツバサ。




もう…ツバサ!私で遊んでる。




「からかわないでよ~」




ツバサの背中をバシバシと叩いた。




「ごめんごめん。」




とか言いながら笑ってるツバサ。






ほんと、意地悪なんだから…っ。





そんなことを言いながら上映上の扉を開けた。





―――『ブー』―――




「あ、映画始まるぞ!」




「ホントだ。」


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