俺のこと好きになるの禁止だから!!
急に暗い空間に入ったせいか周りがよく見えない。
「ツ、ツバサ席は?」
「自由席。好きな場所に座っていいぞ。」
「そうなの?」
「真ん中の席がいいかな?」
ツバサに手を引っ張られる。
「ひ、ひゃっ」
ビ、ビックリしたぁ……
「お前、変な声出すなってば…」
「だ、だってぇ~」
なんだろ?
ツバサ、笑ってるのかな?
暗くてよく見えないけど。
「俺が誘導してやるから黙ってついてこい。」
…え?
「う、うん。」
ツバサは私の意思を無視して手をひきながら、映画館の真ん中の席へと移動した。
目が慣れてきてあたりを見ると
上の方の隅っこに2人とスクリーン左端にひとりしかいない。
「貸切…みたいだね。」
がらんとした映画館。
スピーカーから聞こえる音が大きく響いている。
「いい感じだろ?俺、ここが好きだったんだ…。」