俺のこと好きになるの禁止だから!!
なるほど…。映画館なのに売店に何も置いてないって変だと思ったよ。
それで、売店のおじいさん『最後』って言ってたんだ…。
「正直言うと、どうでもよかったんだ。」
どうでもイイって何が?
「映画の内容。面白くてもそうでなくても。」
彼の言葉が、少し投げやりな気がして心配になる。
「ごめんな。つまらない映画に付き合わせて」
「た、確かにつまらなかったけどさぁ…」
だけど、まぁまぁ楽しかったよ。
「子どもの頃のちょっとした憧れをしたかったのかもな。」
私は、彼のこの映画館に対する思い入れを知らない。
ただ、なんとなく
彼の言葉が私の胸を突き動かしているのがわかる。
きっとここは彼にとっては大切な場所だったんだろう。
「ちょっとした憧れって?」
そう尋ねると照れながら答える。
「彼女とのデートに一回は使いたいなって事かな?」
その言葉は本音がむき出しになっているようですっと手にとれた。