俺のこと好きになるの禁止だから!!
「他にも何か思出があるの?」



「一言でいうなら死んだ爺さんがよく連れてきてくれた思い出の地ってヤツだな。」



「おじいさん、いい人だったんだ?」




「まぁな。俺の憧れだよ。とにかく粋な爺さんだった。」



私はそれ以上彼には尋ねず、椅子に座ったツバサの手を握った。



しばらくして彼がその手を振り払う。



「…行こうか。」



ツバサは私の方へ体を傾けながら立ち上がり、



「今日、唯と来れてよかった。」



そう言って左手を差出し、優しく微笑みかけた。



「ん……。」



私は手を伸ばす。



「…今日はありがとう。」



自然と、口からこぼれた言葉。



映画は面白くなかったけど、


ちょっとずつ彼のことがわかってきた気がする。



楽しかったよ。


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