俺のこと好きになるの禁止だから!!
「はぁーっ!疲れたー」
館内の扉を開き外に出た瞬間、体を伸ばす私。
生ぬるい空気が館内をうろつく。
「…雨降ってんな…」
出入り口付近にある窓ガラスを指さしツバサがぽつりと呟いた。
「ほんとだ……」
私も外を見ると、大粒の雨が降っているのが見えた。
「私、傘持ってきてないよ」
私がそう言っているのを聞くと、ツバサはごそごそと自分のカバンを開きだした。
「折りたたみ傘!?」
「俺、お前とは違うから」
いかにも当然だと言わんばかりの態度。
うぅ〜っ、ムカつく!!
さっきまでしょんぼりしてたのに!!
「はぁぁ…もう濡れて帰るしかないなぁ…」
「何、バカなこと言ってるんだ?」
「だって私、傘持ってないんだよ?」
ツバサは眉間にしわを寄せながら「早く入れよ」と指さす。
…私は、照れながら
「お邪魔しまーす」
と言いながらツバサの肩に寄り添うように傘の中に入った。