シルティアの魔術師
「あの…ありがとう、ございました。」


彼女と帰路を辿り始めてから約5分、私はやっと彼女に礼を述べる事が出来た。

先程の涙の事を考えるとまた恥ずかしくなり、思わず声がどもってしまう。


「…どうして、この森に来たの?」


彼女は、無表情のまま私に尋ねた。
…怒っているのだろうか?


「…この森には伝説の秘宝があると聞いたので、それで…。」


声が、たとたどしくなる。
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