シルティアの魔術師
「ねぇあなた…私の魔術に、興味ある?」


長い沈黙を破ったのは、少女だった。


「魔術…?」


「例えばこの子、シルフって言うんだけど、この子のような普段この世に存在しない者を呼び出すような術なんだけど…興味ある?」


少女が小首を傾げ、私を見つめた。
…一瞬、ドキッとした。
私は思わず、目を逸らした。


「…でも、どんな術かよく知らないし、そんな力私には…。」


「私の術は自然と心を融合させて行うものよ。詳しくは、これから知っていけばいいわ。…さっきも言ったけど、あなたには底知れぬ魔力が潜んでいるの。」


彼女の眼差しが、真剣なものに変わる。


「あなたなら、きっと偉大な魔術師になれるわ。私の力はまだまだだけど、教えられる限りは教えるわ。だから…。」


ふと、彼女の表情が緩まる。


「だから、うちに来ない?…あなたならきっと、両親も歓迎するわ。」
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