シルティアの魔術師
彼女の両親の他界は突然だった。

原因はその年シルティアで流行した流行病だった。


彼女はその時には既にリドル陛下直属の宮廷魔術師となっており、悲しむ時間は与えられなかった。


ーその時を境に、彼女はますます真剣に魔術の特訓に打ち込むようになった。

…もしかしたら、そうする事で悲しみを忘れようとしていたのかもしれない。




ー彼女の力になりたい。




そんな彼女を見て、私は魔術の特訓に身を捧げながら、そう強く思った。


思えば…彼女から目が離せなくなったのも、その時からだったかもしれない。
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