シルティアの魔術師
「シオン殿は随分遅いですね。先日武器庫への道順は確かに教えたはずなのですが。」


ー剣の師匠の声でした。声色からするに相当腹を立てているようでした。


「シオン殿はおそらくまだ王宮に慣れていらっしゃんだと思います。…だからどうか、怒りを鎮めて下さい。」


次の声は姫君でした。
それはまたしても、慈愛に満ちたお言葉でした。



そんな姫君にこれ以上ご迷惑はかけられないー

そう決心して右手を扉に当てた時、謁見室に新たな声が響きました。
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