シルティアの魔術師
陛下の声が、まるで親が子を慰める時のように優しく響きます。
陛下は、そのまま続けられました。

「輸入にかかる費用については軍事費から捻出するつもりだ。新たな武器の発明を停止し、その費用を当てようと思う。…我が国を守る為の戦力は必要であっても、攻撃をする為の戦力は不要だからな。」

陛下の手が、軽くエリスの肩に置かれます。

「…こちらこそすまない。お主だと話しやすくてつい何でも話してしまう。出過ぎた言動をしているのは、むしろ私だな。」


エリスの肩は、僅かに震えておりました。そして一言…

「ありがとう…ございます。」

…とだけ、微かに私の耳に届いて参りました。
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