シルティアの魔術師
やがてその人物は棺から眼を離さぬまま、ゆっくりと席から立ち上がります。

そして棺の方に2・3歩足を進めると、その口を開きました。


「そこの宮廷魔術師よ。いつまでそこにおる。ただちに下がるのだ。」

その声にハッとしてエリスは声をかけてきた人物の方に振り返ります。


「…ブライトン殿下。申し訳ございません。…失礼致します。」


エリスは立ち上がり、ブライトン殿下なる人物に一礼をしてその場から去ろうとしました。


「…待て。」
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