シルティアの魔術師
「お前たちのような、怪物を呼び出す者どもをどうして兄上は気に入ってらっしゃったのか…。」

ブライトン殿下はエリスから目線を反らさぬまま、体を自分の席の方へと向けました。

「…そもそも、兄上の病死との報告も怪しいものよ。つい昨日まで他国におった私には知る術もないがな。」



「……っ!」

エリスの拳が固く握られ、震えていました。

やがてその拳がわずかに光を放ち始めると、それに気付いたタートスが、その手をただ黙って両手で包み込みました。
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