シルティアの魔術師
エリスが訳が分からないと言った表情で陛下の顔を見つめます。

陛下はそれに構わず、言葉を続けました。


「…良く考えたものよ。体よく森の怪物のせいにでもして、お前が息子をそのような目に合わせたのであろう?」


陛下のエリスを見る目はゾクリとする程に冷え切っておりました。


「お前が私を憎んでおるのはよく知っておる。そんなお前を敢えて息子の救出に向かわせたのは、お前に慈悲を与えてやったからだ。それを…。」


陛下の顔が、鬼のような恐ろしい形相に変わります。
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