君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
無理だ…死んでしまう。


血の気が引くとはまさに、今の状態を言うのだろう。


なんて冷静に考えている中、彼…東野さんが声を掛けてきた。


「おい。さっきの話を聞いていたと思うが、あと一時間は動かないらしい。まぁ…お互い我慢するしかないな」


そう言い、東野さんは座り込んだ。


「ったく!…せっかく早く終わって帰れそうだったのに…」


ぶつぶつと独り言を言いながら、明らかに不機嫌な様子。


そりゃそうよね。

大嫌いな女の私とこんな密室に2人っきりなんだもの。

私も東野さんに聞かれないように小さなため息を漏らしながら、力が抜けるように座り込んだ。


一時間だけと思いつつも、密室のこの中、シーンとしており物凄く気まずい。

かと言って話すこともないし。


「…あっ!…すみません。気晴らしにケータイで音楽を聞いてもいいですか?」

「…どうぞご勝手に」


東野さんのトゲのある声に、やっぱりこの人は嫌いだと再確認しつつも、一応お礼をし、ケータイを開く。


エレベーターの中の為、圏外だった。


緊急時の連絡がちゃんと繋がって良かったな。


ケータイも緊急用も繋がらなかったらおしまいだったよ。
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