君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
音楽が保存されているファイルを開き、音量を最小限に下げて再生ボタンを押す。

聞こえてきたのは大好きなバンドのバラード曲。


好きなのに別れなくてはいけない恋人の心情を描いたこの曲は、私の一番のお気に入りだった。


一番のサビが終わる頃、急に東野さんが話し出した。


「…その曲…」


「…はっ、はい!?」


まさか声を掛けられるとは夢にも思わず、身体が驚く程反応してしまった。


そんな私の反応が気に入らなかったのか、東野さんは不機嫌そうに視線を反らした。


「いや…そのバンド俺も好きだから驚いただけだ」


「えっ…?」


嘘…今、東野さんも好きだって言った?

だってこのバンド、デビューして五年経つけどそれ程知名度はなくて、友達に話しても分からなくて…


「本当ですか…?私、デビュー当時から大好きなんです。ライブにも良くいくし…」


同じバンドが好きという親近感からか、つい話し出してしまった。


「凄く歌詞が好きなんです。心に響くっていうか…。この曲も初めて聞いた時、思わず涙が出ちゃいました」


……って!!
私ってば何を1人熱く語っちゃってるのよ、バカバカ!
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