君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「えっ…もしかして藤原係長の忘れ物ってケータイですか?」


「あぁ。いつも引き出しに入れておくからな。たまにこうやってつい忘れてしまうんだ」


「…ふふ。実は私もなんです」


そう話し、私もさっき取りにきたケータイを取り出し見せた。


「ふ~ん…どうやら俺らは似た者同士みたいだな」


「そうですね。…あっ!そういえば!藤原係長知ってます!?今、営業部で流れている私達の噂!」


「噂?さぁ、知らねぇけど」


「私達がデキてるって噂が流れているんですよ!」


「へぇ。面白いね」


「どこがですか!」


東野さんの耳に入ったらどうするのよ!


「そんなくだらない噂なんて放っておけ。どうせすぐに消えるさ」


「…そうだといいんですけど」


「とにかく帰るぞ」


全く噂なんて関心ない様子な藤原係長。

すたすたとドアへと向かって行く。


「あっ…待って下さい!私も帰ります」



こんな暗くて不気味なオフィスに1人でいるなんて、ゴメンだわ。


慌てて藤原係長の後を追い掛けようとした時、急にオフィスの電話が鳴り響いた。

「なんだ?誰だ、こんな時間に」


「私出ます!」
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