君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
ちょうど電話の近くにいた為、慌てて電話を取った。


『お電話ありがとうございます。営業部櫻田でございます―……』


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「…は?KISAIの田所部長が?」


「はい。なんでも三日前、東野さんと商談した際に東野さんが手帳を忘れてしまったようで…」


それで向こうから直々に届けてくれるって言うから、そんなわけにはいかないと思い、思わず―…


「ハーッ…。それでお得意様に届けてもらうわけにはいかないと思って、櫻田が今から取りに行くって言っちまったんだな」


「…はい」


そんな溜め息つかなくても…。
だってそうでしょ?ましてや電話に出た私は、東野さんの秘書なのよ?
『はい、お願いします』なんて言えないわ。


「櫻田。それ、俺が行くから」


「えっ…?」


どうして?


「場所はどこって言ってた?時間は?」


東野さんといい、藤原係長も?そんなに私って頼りない?…取りに行くだけの仕事も自己判断で、させてもらえないの?


「櫻田?早く教えてくれ」

これくらい…。


「嫌です!」


「はっ?」


意外な私の言葉に、藤原係長はキョトンとした様子。
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