君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「私、東野さんの秘書です!東野さんの忘れ物なら私が取りに行くべきだと思います!電話を受けたのも私なので。なので藤原係長は気にせず、たまには早くお帰り下さい」


「あっ…おい!櫻田!」


一気に言い、私は一目散にオフィスを後にした。


後ろから藤原係長が、私を呼ぶ声が聞こえたけど止まることなく、会社を後にする。


これくらいの仕事、私にだって出来るわ!
確かに営業に関しては何も分からない素人よ。でも…忘れ物を取りに行くくらい、行かせてくれてもいいじゃない。



「あ―…すっごい悔しい!」


会社から少し離れたところで、駆け足だった足をゆるめ、ゆっくりと歩道を歩く。

悔しさから涙が出そうになったため、慌てて上を向き空を見上げた。


さっきからケータイがうるさく鳴り響く。
きっと藤原係長だろう。


そっとカバンからケータイを取り出し、電源を落とした。


「ごめんなさい。…でもこれくらいの仕事、させて下さい」


そっと呟き、田所部長との待ち合わせ場所へと向かった。


ーーーーーーーー

ーーーーー


「うわぁ…ここのホテル初めて来たわ」


思わずエントランスから上を見上げてしまうほど、豪華なホテル。
< 113 / 411 >

この作品をシェア

pagetop