君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
田所部長に指定された場所は、都内でも有名な一流のホテル。

なんでも今までここのホテルで、契約をしていたとか。

「急がないと…」


きっと待たせてしまっているだろう。
悪い印象を残したくないわ。急いで行かないと…。

そっと自分自身に気合いを入れ、ホテルの中へと足を踏み入れた。


ーーーーーーー

ーーーー


中に入り、玄関近くにあるカフェへと急ぐ。


「あっ…櫻田さん!こちらです」


数名の客がおり、田所部長がどんな人なのかも分からなかった私は、少しの間うろうろしてしまっていた。

そんな私に気付いてか、田所部長は立ち上がり手招きをしてくれていた。


「すみません、お待たせしてしまって。ご挨拶遅れました。私、東野の秘書を務めさせて頂いております櫻田菜々子と申します」


軽く会釈をし、そっと自分の名刺を差し出す。


「こちらこそ初めまして。やっと櫻田さんにお会いすることができて嬉しいよ」


「えっ…?」

嬉しい?


そう言うと田所部長は、なぜか席に座ろうとせず、いきなり私の肩に腕を回し、強引に歩き出した。


「あっ、あの!田所部長?」


「東野君の美人秘書、噂の的でね」
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