君が好き。～完璧で女嫌いなカレとの恋～

もうここまできたらどうにでもなれよ。
好きにすればいいのよ。


エレベーターに乗り込み、ドアが閉ざされようとした瞬間―…。


「待て！」


長い手がドアを押し退けた。

「…うそ」


目の前に現れたのは汗だくな東野さんで…。髪が乱れていて…。


「とっ、東野君！なっ！君、たしか出張中のはずじゃ―…！」


突然現れた東野さんに、さっきまでの余裕はなくただ、慌てる田所部長。


そんな田所部長には目もくれず、東野さんは私の腕を引き、田所部長から引き離す。


えっ…うそ。ちょっと待って。


「田所部長、櫻田は返して頂きます。…いいですよね？」


「あっ、あぁ。もちろんさ。わっ、私はこのまま宿泊するのでここで」


苦笑いを浮かべながら無理に私達に手を振る田所部長。

そしてそのままエレベーターのドアが閉まり、エレベーターは上の階へと向かっていった。


ちょっとちょっと！
私、どうしたらいいの！？あっ、あの東野さんの手が私の腕を掴んでいるのよ？

あの女嫌いの東野さんが！

突然の現状に私の頭の中はパニック状態。


「さて、と。櫻田。まずは話してもらおうか？なんで櫻田がここにいるのかを」