君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
またきっと不機嫌な顔をしているのだろう。


怒られる前に謝ろう!


「すっすみません!1人勝手に暴走をしてしまいました!つっ、つい嬉しくなってしまって…だってこのバンド、知ってる人っていないし、それに…」


「プハッ!」


……!?


突然の笑い声に顔を上げると、そこには笑っている東野さん。


えっ…


えぇー!?あっ、あの!あの東野さんが笑ってる!!
なんていうレアな光景!!

「あ~…お前面白いな。別にそんな謝ることないだろ?俺だって同じファンがいて驚いたし、嬉しかったし」


「………」


意外な一面を見てしまった。

それ以上は話をすることはなかったけど、同じ沈黙でもさっき程、嫌な空気ではなかった。

好きなバンドの音楽を流しながら二人で聞き入る。


この時間がなぜか居心地が良い。


不思議なくらいに…


ーーーーーーーー

ーーー


「おせぇな…」


エレベーターが故障してから一時間以上過ぎたというのに、一向にエレベーターは動く気配はないし、助けも来ない。


東野さんはイライラした様子で再び緊急用のボタンを押した。


「おい!もう一時間以上は経ってるぞ!?」
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