君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
そうだったの?
本当に?だから私を営業に連れていってくれなかったの?


「分かっただろ?…だから泣き止め」


そう言うと東野さんは車に積んであったティッシュボックスを私に差し出す。


あっ…やだ。私ってばまた泣いちゃってたんだ。


「悪かったよ。本当に。怖い思いさせちまって…」


「ちがっ…!」


「えっ…?」


違う…。
違います。私が涙を流した理由は。


「櫻田…?」


「私…嬉しくて。東野さんにそんな風に思ってもらえていたことが」


「櫻田…」


ちゃんと伝えたい。

だって本当に嬉しかったから…。


「ずっと東野さんの秘書としての仕事をさせてもらえなくて、悔しかったんです。せっかく一緒に仕事が出来る環境にいるのにって。東野さんの信頼を得るにはどうしたらいいんだろうって…」


だけどそんな理由があったなんて知らなかったから…。

「だから今、素直に嬉しいです。東野さんに信頼されていないわけじゃなかったんだって分かって」


ちょっと恥ずかしくなり、誤魔化すように笑い、東野さんに差し出されたティッシュを何枚か取り、鼻をかむ。


「フフッ…櫻田って本当に変な女だな」
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