君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「東野さん…」


「女は嫌いだ。…部長に昇進する際、秘書をつけなくてはいけないってなった時、なぜか櫻田の顔が浮かんだんだよな」


えっ…それって…?


「櫻田は有名だったよ。若いくせに仕事が出来て男嫌いだってな。ちょうどいいと思ったんだ。俺の秘書として適任だと。…なのに予想外な行動ばかりだもんな。櫻田は」


東野さんの言葉にドキドキが止まらない。

「三田社長に罵声を浴びせるは、かと言っていつの間にか営業部の奴らと戯れているし。…そのくせどこか抜けてる。今回みたいにあんな手口に引っ掛かってエサにされそうになるし」


私はただ東野さんの言葉に耳を傾ける。


「時々忘れそうになるよ。櫻田が女だってことを」


「…へ?」


えっ…と。それってつまりどういう意味ですか?


「さてと、帰るか。送る」

そう言うと東野さんは車のエンジンをかける。


えぇと…。なんだか最初の方はいい感じのお話だったのに、何?このオチは。


つまり私は東野さんに女として見られていなかったってこと?…なのかしら。


「櫻田?送って行くから早く家まで案内しろ」


「あっ…はい!」


…でも女じゃなかったら助けにきてくれなかったよね?
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