君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
上司に縁談話が持ち上がったら、どうすればいいですか?

「小山君、これなんかも美味しいわよ」


「頂いてます」


「じゃっ、じゃあこれなんかは?」


「頂きます!」


「…はい、どうぞ」


金曜日の夜。
明日から二連休!嬉しい週末前の今日、私はこうして小山君と二人で居酒屋にいる。


「あ―…。あの日は虚しかったな。店員に二人だって言って席を取って飲み放題まで注文したのに、いくら待っても櫻田さん来なかったし…」


「だからそれについては謝ったじゃない。こうして埋め合わせしてるし」


そう。東野さんに嬉しいお言葉をもらえたあの日、私ってばすっかり忘れてしまっていたのよね。


小山君と約束していたことに。


あのまま私は、東野さんに車で家に送ってもらったから、当然の如く行けなかったわけで…。


「ごめんなさい。…本当に」


確かに悪かったわ。一人で居酒屋にいて待ちぼうけなんて、苦痛だったわよね。


「まぁ…ちゃんと謝ってもらえたし、こうして飯も奢ってもらえたし、もういいっすよ」


そう言いながら小山君はビールを一気に飲み干す。


「それにしても櫻田さん。話は変わりますけど、あの東野部長の変わりようはなんですか?」


「…え?」
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