君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
あの日。
田所部長から私を助けてくれたあの日。東野さんは私の腕に触れたのに、ハンカチで拭いたり消毒したりする素振りがなかった。

まぁ…私を家まで送った後にしたのかもしれないけど。

でも次の日から一緒に仕事をしてると、やっぱり『近寄るな、触れるな』宣言はされたし。

女嫌いは堂々健在だしなぁ…。

だけど、ちょびっとは期待せずにはいられないのよね。


だってあの東野さんと女の私が仕事をしているのよ?

小山君にはあんな風に話したものの、やっぱり期待してしまうわ。


東野さんにとって私、少しは特別な存在に近づいてますか…って。


「あっ、櫻田さん。焼き鳥もう一皿追加してもいいっすよね?」


「えぇっ!?…わっ、分かったわよ」


ーーーーーーー

ーーーー


「へぇ…すげぇじゃん菜々子。一緒に仕事をしてるなんて」


「でしょ!?もうね、いまだに夢の中にいる気分なの。東野さんってね、やっぱり思った通りの人だった。仕事は完璧で、勉強させられることばかり」


日曜日の夜、久し振りに三人で夕食を共にし、ただ今翔ちゃんと二人で後片付け中。桜子は酔い潰れ中。
< 126 / 411 >

この作品をシェア

pagetop