君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
エレベーターは呼び出された階へとたどり着き、扉がゆっくりと開かれる。


下に向けていた視線をゆっくりと上へと向けると、そこには東野さんの姿があった。


「わぁっ!とっ、東野さん!」


「櫻田。何をしてる。遅刻だ」


遅刻!?
慌てて腕時計を見ると、確かに就業時間を過ぎていた。

マズイ…。


「すみませんでした!その…副社長とお話をしてまして…」


「副社長と?」


「…はい」


嘘ではないもの。ただ、話の内容は言えないけど。


「何の話だったんだ?」


!!いきなり突っ込まれたわぁ!


「…櫻田?」


とっ、とにかく冷静を保って当たり障りのないことを。

「あっ、あの、私の仕事状況についてです。仕事には慣れたかどうか聞いて下さいまして…」


「…そうか」


なんとか誤魔化せたかしら?まさか、思いっきりプライベートな質問されたり、東野さんに関係してるような話があるだなんて言えないわ。


…まだ話の内容も全然分からないし。


「理由は分かったが、それならそれでちゃんと連絡しろ。今日の予定を把握しているはずだよな?」


「すみません」


確かにそうだわ。
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