君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「乙女って…失礼な奴だな」
「え~本当のことじゃない。女の私より全然女らしいし」
「…じゃあ誉め言葉として受け取っておくよ」
コーヒーを飲み干し、またパソコンと向かい合う翔ちゃん。
「翔ちゃんさ―…あのね、来週の月曜から三日間、大阪に出張なんだ」
「大阪?じゃあお土産よろしく」
「あっ、うん。それはもちろん買ってくるよ。あのね、実はその出張には東野さんの付き添いで行くんだ」
「えっ…」
私の話に驚いたのか、キーを打つ手が止まる。
「付き添いって…一緒にってことか?」
「あっ、当たり前じゃない!一緒によ」
「そうか。良かったじゃん」
「うん!あっ、お土産楽しみにしててね」
「あぁ。…じゃあ菜々子、悪いけど仕事早く片付けたいから」
「あっ、邪魔しちゃってごめん!…頑張ってね」
「はいよ」
手を振り、部屋をあとにする。
「本当はもうちょっと翔ちゃんと話していたかったんだけどな」
珍しいな。いつもだったら話聞いてくれたのに―…。
でも仕事してたし、仕方ないよね。
「明日も仕事だし、もう寝よう…」