君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
翔ちゃんが飲み干したコーヒーカップを洗いにキッチンへと行くと、ちょうど桜子が帰宅し、冷蔵庫を漁っていた。
「桜子!帰ってきてたんだ」
「あ―…今帰ってきたばっか」
冷蔵庫から缶ビールを取り出し、一気に飲み干す。
「ッカー!この一口のためだけに今日を生きてきたぜっ!」
「もう…桜子ってば」
まるでオヤジだわ。
「菜々子~なんかつまみねぇ?」
「つまみ?確かポテチがここの棚に…あっ、あった!」
「サンキュー」
棚の中からポテチを取り出し、桜子に向かって投げる。
桜子はさらに冷蔵庫から缶ビールを取り出し、リビングへと向かった。
「桜子~私にも一口ちょうだい」
「あいよ」
桜子の後を追い、ソファーに腰掛け差し出されたビールを口に含む。
「あ~美味しい!」
「だよな!」
「…桜子はさ―…好きな人とかいないの?」
「…は?何を急にキモイ話をしてんだよ」
「キモイって…。人が真面目に聞いてるのに」
ふと聞いてみたくなってしまった。
同い年でずっと昔から幼なじみ。同じ女同士なのに、よく考えると桜子と恋ばななんてしたことない。