君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
どれくらいの時間、見つめ合っていただろう。
先に目を反らしたのは翔ちゃんだった。


「あー...いや、悪い。なんでもない。土産楽しみにしてるよ」

「うっ、うん」


私の腕を掴んでいた翔ちゃんの手は、いつものように私の頭を乱暴に撫でる。


その温もりはいつもと変わらない温もりで...。
いつもの翔ちゃんなんたよね?


「じゃあ翔ちゃん行ってきます」


「行ってらっしゃい」

今度こそドアを開け、車から降りる。

すると車はすぐに発進され、あっという間に見えなくなった。


三日後、帰ったらいつもみたいに出迎えてくれるよね?翔ちゃん...。


―――――――――――

――――――


「櫻田、こっちだ」


「はっ、はい!」


ヤバイヤバイ。一瞬フリーズしてしまったわ。
だってお隣よ?電車の席が隣なんて!過去最高に東野さんと密着するってことじゃない。

...この状況に私、数時間の間耐えられるのかしら。


緊張しながらもゆっくりと東野さんの隣に腰掛ける。

東野さんはすぐに手帳を開き仕事モード。

私はダメだわ。まずはこの状況に慣れないことには頭が働かないわ。


しばしの間、沈黙の時間が続く。

そして出発時間となり、ゆっくりと列車が走り出す。


「さて、と。櫻田、寝ろ」


「...えっ?」


急に口を開いた東野さん。
だけどなぜに?寝ろって...。

「お前、朝鏡の前で化粧したんだよな?なのに気づかなかったのか?その目の下の隈に!」


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