君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~

夢を見た。

それはすごく不思議な夢で。
でも内容は全然覚えていなくて...。

だけどこれだけは覚えていた。その夢には東野さんが出ていて。
夢の中の東野さんは私に微笑みかけてくれてた。


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「櫻田!!」


「っ!!」


はっと目が覚め、目の前には怒りに満ちた東野さんのお顔。

お顔が、こんなきれいなお顔が目の前に...。え?目の前??

ボーッとしていた頭が一気に覚醒される。

きゃー!私ってばいくら寝ていたとはいえ、なんて大胆なことを!

直ぐ様東野さんから離れる。


「ったく。やっと起きたな。どうしてくれるんだ?櫻田が寄りかかったせいでこのスーツ、もう着れなくなっちまっただろうが」


「すっ、すみません...」


やっぱり。私ってばいつの間にか東野さんに寄りかかって寝てしまっていたのね。

いつも通りの東野さん。女嫌いはご見参ね。


「熟睡しすぎだ。どれだけ寝るつもりだ。おかげで肩が痛い」


「...本当にすみません」


あれ?でもそれって東野さん、私が肩に寄りかかっていても、退かさずにそのままにしてくれていたの?


うそ..本当に?


「櫻田。何をニヤニヤしているんだ。そろそろ着く。降りる準備をしろ」


「はっ、はい!」


いつも通りの東野さんだけど、なんでかしら。小さな些細なことだけど、東野さんとの距離が少しずつ近くなっている気がするの。


だって女の私が肩に寄りかかっていたのよ?なのに、すぐに退かさないなんて...これって凄い進歩よね?
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