君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
少しして、ゆっくりと立ち上がる。


「たまにはゆっくりするか。櫻田!観光するぞ」


「あっ、はい!」


って!本当に東野さんってば観光するつもりなの!?

スタスタと歩き始めてしまった東野さんの後を慌てて追いかける。


いや、でもそれって東野さんと観光ってなんだか信じられないけど...これってちょっとデートみたいじゃない?


――――――――――――

―――――


「え...。東野さん、ここって?」


どこからどう見てもさ。

「ただのデパートだが?」


ですよね!?


「観光するんじゃないんですか?」


「するさ。明日な」


明日!?


「今からじゃ微妙な時間だろ?今日はゆっくりして明日観光しようと思ってな」


「はぁ...。でもそれでなぜデパートなんですか?」


「どこの世界にスーツで観光する奴がいるんだ。櫻田も私服ないだろ?」


「えぇっ!?」


いや...すみません。思いっきり気合の入ったプライベートな服を持ってきてしまいました。...なんて、とてもじゃないけど、そんなこと正直には言えないわ。


「そうですよね。私も何か選んできます」


「あぁ。じゃあ買い終わったらホテルに戻れな」


「はい...」


ですよね。一緒に買い物なんてしてくれるわけないわよね。

ちょっと期待してしまった自分が恥ずかしいわ。
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