君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「...翔ちゃんは?」


いつもだったらいる時間なのに、なぜか翔ちゃんの姿が見えず。


「あー...。翔太は珍しく飲み会だってよ。昨日言ってた。待ってなくていいから先に寝てろって伝えてくれって、菜々子に」


「...そっか」


ちょっと翔ちゃんに話を聞いて欲しかったんだけどな。


「んじゃまぁ、翔太もいねぇし、こいつで一杯やるかな。菜々子もどうだ?」


「ごめん、ちょっと疲れちゃったし明日も仕事だから、悪いけど先に休むね」


「そうか?んじゃ一人で飲んじまうぜ?」


「いいよ!桜子に買ってきたんだから。じゃあおやすみ」


「おう」


上機嫌な桜子を残し、リビングを後にして、自分の部屋へと戻るとそのままベッドへと倒れ込んだ。


「はぁ...。本当に翔ちゃんに話を聞いて欲しかったな」


あの時の場面、気色、音。そして東野さんの言葉、東野さんの表情...。さっきから何度頭の中でリピートされただろうか。

目を瞑ると鮮明に思い出される。



――――――――――

――――――

―――



「おはよう」


「...おはようございます」


朝から東野さんの私服姿があまりにもかっこよすぎて、言葉が出なかった。


シンプルな黒のシャツに、スラッと伸びる長い足。全然オシャレしてるわけじゃないけど、より輝いて見えた。


「フッ...昨日の俺が言ったまんまじゃん」


「そっ、それは!」


当たり前じゃないですか。好きな人に似合うと言われた服を買わない人がどこにいるんですか!



「うん...。でもいいじゃん。櫻田には合うと思う」
< 153 / 411 >

この作品をシェア

pagetop