君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
エレベーターはゆっくりと上がっていく。


「あっ、そういえば櫻田さんは来月の社内旅行には参加するの?」


「社内旅行?あー...。そういえばもうそんな時期なのね」


去年までは一応なんだかんだ言って毎年参加してはいたけど。


「私は不参加かしら。きっと東野さんは殺人的スケジュールを組んでいるはずだから。私だけが社内旅行に行くわけにはいかないわ」


「あら、そうなの。それは残念だわ。毎年櫻田さんとのボディ対決を楽しみにしていたのに」


そんなのもあったわね。
何かとライバル視する橘さんは、毎年私とお風呂に入ってはスリーサイズやプロポーション対決を挑んできたのよね。


「今年は不戦勝で結構よ」


ちょうどエレベーターは着き、秘書課へと向かう。


「あっ、おはよう!ちょうど良かった!今から営業部へと行くところだったんだ」


「えっ...あっ!副社長!おはようございます」


「副社長、おはようございます。遅くなってしまい申し訳ありませんでした」


さすがは橘さん。私とは違い完璧な振る舞いだわ。慌てふためく私はなんて秘書らしくないのだろうとさえ、思ってしまうわ。


「いやいや、俺が早く着いたんだ。橘くんが謝ることじゃない。さて、と。そんなわけで櫻田さん、営業部までご一緒してもいいかな?」


「はっ、はい!」
< 156 / 411 >

この作品をシェア

pagetop